「マジか」。イギリスの国民投票で、EU離脱派が勝利したとの第一報を聞いて、自然に出た。「イギリスは孤立します」と宣言するとは思わなかったからである。
いろいろネット情報を集めた結果、次のような対立軸があったように見える。
一つは、グローバル化を拒む地方の労働者と、グローバル化の恩恵を受けるロンドン市民である。移民の流入などで、苦しい生活を強いられる労働者たちは、Noを突きつけた。皮肉なことに、離脱によって、雇用が失われるなどのリスクを最も受ける階層でもある。
一つは、古き良きイギリスを知るお年寄りと、EUとの交流で恩恵を受ける若者たちである。残留を望んだ若者たちの高齢者に対する恨みの声が渦巻いている。一人1票という平等原則は妥当なのか、この先長く生きる者には複数の票を与えるべきではないかとも感じた。
一つは、イングランドとスコットランドである。スコットランドは早くも独立に向けた準備を開始すると宣言した。前回の国民投票では残留派が勝利したが、次はおそらく独立派が多数を占めるであろう。分裂によって、イングランドはさらに没落を早めるだろう。
一つは、直接民主制と間接民主制である。全国民が政治参加する直接民主制では、離脱か残留かの二者択一しかない。国民から選ばれた政治的リーダーが統治する間接民主制ならば、EUと交渉するなど、妥協点を見出すこともできたかもしれなかった。民意を聴く政治家という名声が欲しかったのかもしれないが、リーダーシップを放棄したキャメロン首相の罪は大きい。
一つは、イギリス対世界である。イギリスの約半数の決断が、世界経済に大きな混乱を及ぼし、グローバル化を実感させた。この先、どのような影響が日本に及ぶのかわからないが、やれやれである。