さいたま市で大学生をしている娘の咳がひどいと聞いて、それならばと、ドライブがてら出かけた。
一般道だと2時間半ほどかかる。ラジオから流れてきた1980年代の音楽を聴きながら、その当時の私と妻の年齢に娘も近くなったのだと気づいた。そして、娘が生まれた20年ほど前の日の、病院の窓から見えた、12月の鋭い青い空を思い出していた。
呼吸器科の医院に向かう車中の何気ない会話の中で、「お父さん、私、彼氏ができたの」と娘が言った。
「ほお、そうか」と答えた。
アイドルグループのコンサートで知り合ったのだという。
サッカーなどの部活が好きで、昔はNMB、最近では乃木坂が好きで、「彼氏」とは無縁と思っていたので、よかったな、という気持ちが過半を占めた。
賛成とか反対とかではなく、かといって友だちのように突っ込んで話を聞くでもなく、「ほお、そうか」というのが、ぴったりな気分なのであった。