テストセンター方式を採用する県内の自治体が増えている。
宇都宮市はコロナ禍真っただ中の2021年度試験から開始したが、今年度になって栃木県庁、小山市、高根沢町などが導入し始めた。
テストセンター方式とは、3週間程度の決められた期間内に、都合のよい日時を予約し、全国にあるテストセンターでパソコン上で受験できるという便利なシステムである。
このシステムのよい点の第一は、受験者が都合のよい日時に受験でき、仕事を休まなくてもよいという点である。
また、どちらかと言えば、簡単な問題を素早く解くという傾向が強いので、予備校などに通わなくてもよい、ましてや受験準備のために仕事を辞めなくてよい、という点も挙げられる。
採用側は、試験監督のために職員に休日出勤を求める必要がない、試験会場を抑える必要もないというメリットも大きいと思われる。コストダウンにも貢献しているかもしれない。
試験問題を印刷しないので、環境にもよさそうだ。
一方で、マイナス面もいくつか考えられる。
これまでは、試験日が統一されてきたが、それがなくなり、かなりの数の役所を併願できるようになった。優秀な人間は、「テストセンター嵐」として、必要以上に出願するかもしれない。内定を出しても、辞退者が続出する可能性がある。その結果、年度内に2回、3回、4回と採用試験を実施する必要が生じたり、必要な人員を確保できず、行政サービスの低下を招いたり、という事態が懸念される。せめて、2次試験は統一して実施するなどの工夫が必要だろう。
全国のテストセンターで受験可能なので、冷やかし受験が増え、不当に採用コストが増えるとともに、競争倍率が上がるということがあるかもしれない。冷やかし受験を防ぐためなのか、長文のエントリーシートを最初に提出させる自治体もある。
また、テストセンター方式の問題は、使いまわしなので、「前にやった問題と同じ」という例が生じている。何度も受験していると、有利になるのは間違いない。基本的には、教養試験よりも、面接試験で、しっかり人物を見るということなのだろう。
功罪拮抗するが、公務員として本気で地域社会に貢献しようという若者をきちんと採用できるシステムに育ってほしいと思う。