遠い日々

　母校の中央大学と、筑波大学のサッカーの試合が古河市であると知って、観戦に出かけた。負けた方が2部に降格するというシビアな試合でもあった。中央大学は引き分けでも、自力残留がなくなる。
　昨夜のサッカー日本代表が試合をした会場に比べて、芝ははげているし、ボコボコしているし、選手たちには気の毒なピッチであった。そのせいか、細かなパスを繋がず、ロングボールが多かった。
　前半、キーパーがハンドを犯し、ゴール正面のフリーキックからのオウンゴールで筑波大学が先制した。中央大学は、２点取らないといけない状況に追い込まれたが、メガホンを使った肉声の応援が途切れることはなかった。
　後半、中央大学は、激しくチェックに行って得たコーナーキックから体ごとボールを押し込み、同点にする。そして、終了間際、ゴール前の浮き球を頭で合わせたボールがゴールキーパーを超えてネットを揺らした。
　試合が終わり、残留を決めた選手たちが、嬉し泣きしているのを見て感動した。久しぶりに、母校の校歌を聞いた。
　思い返せば、あのような気迫とは無縁のダラダラした大学生活であった。それでも、あの当時の悩みは、今よりも純粋だったような気がする。
　仕事のこと、家族のこと、何も考えず、ただ、ボールだけを目で追いかけて、リフレッシュできた。昔の悩みも、今の悩みも、どうってことはないのだ。