正月、成人式、祖母の三回忌に続いて、この1月、娘は4度目の帰省をした。
高校の同級生の通夜に出席するために。
去年の夏、わが家に遊びに来たことがあったが、ガンのため、それから一年半で帰らぬ人となった。
通夜から帰ってきた娘に、晩ご飯をつくり、ふろの準備をした。
亡くなったお嬢さんのご両親も、そんな日常をもっともっと続けたかったであろうと考えながら。
妻は、「おやまぁ、優しいねぇ」とからかってきた。
翌朝、娘のリクエストに応えて、もやしの味噌汁をつくる。
本当かどうか知らないが、味噌汁が帰省したときの楽しみの一つらしい。
もやしは、事前に、長く伸びた根の部分やへたっている部分を取り除く。20分くらいかかる。
豚小間の比較的柔らかい部分を鍋でいため、水を入れて加熱する。
だしを入れ、もやしと油揚げの千切りを加え、ひと煮立ちさせる。
火を弱め、マルコメみそ3、仙台みそ1くらいの割合で味を調える。
午前6時半の電車に間に合うように娘を送る。
「私が死ぬ前に食べたい料理の中に、もやしの味噌汁を入れてもいいな」
「バカヤロウ。俺の方が先にくたばるから、そんなことは不可能だ」