栃木県庁の最終合格発表があった。一般的な傾向として、民間企業などの正社員歴が長い人は笑い、短い人は苦杯をなめた。
先日、卒業後の最初の就職先を数か月で辞め、役所でアルバイトをしているという、よく似た境遇の人が立て続けに受験相談会に訪れた。
役所の補助的なアルバイトは、ほとんど職歴にならない。それよりは、ブラック企業でも1年間がんばった方が、面接で合格しやすい。「急がば回れ」で、将来的に公務員に合格したいのであれば、とりあえず民間企業で正社員として働いた方がいいというアドバイスをした。
一人の人は納得してくれた。が、もう一人の人は怒り出して帰ってしまった。2次試験のことを考えると、今は受験勉強より民間企業での経験の方が大切である、ということをわかって欲しかったのだが、私の伝え方が悪かったかもしれない。
塾なんだから、受講生に勉強やテクニックだけ教えればいいという考え方もあるかもしれない。その方が売上も増える。しかし、2次試験に合格する可能性が10%程度だろうと予想される人に、そんなことはできないというのが私の考えである。
公務員というのは、一つの職業であって、より大切なのは、たった一度の人生を自分らしく、幸せに生きるということである。公務員になることは目的ではなく、自分らしく、幸せに生きる手段の一つに過ぎない。
人生は一度きり。20代は、とにかく苦労することである。ほんのちょっとタイミングがずれただけで、ずるずると沈み込んでしまう人生もある。
怒って帰ってしまった人は、危ういと思うが、それもまた人生である。