グローバル化の進展によって、国際貿易は飛躍的に増えたが、欧州では失業者が増え、アメリカでは製造業が衰退し、日本でも非正規雇用者が4割を占めるまでになった。一言でいえば、先進国では貧富の差が広がった。
イギリスはEUを離脱する道を選択し、アメリカはアメリカ第一主義を掲げるトランプ氏が大統領に当選した。フランスでも、極右政党のルペン氏が大統領選の有力候補にのし上がってきた。
そのような流れの中、日本はTPPの推進など自由貿易を守る立場を維持せざるを得ないだろう。一方、トランプ氏は保護貿易にかじを取り、中国製品に高関税をかけ、アメリカ企業の海外進出に待ったをかけている。
安全保障分野でも、今後アメリカは他国の紛争のためにアメリカの若者を犠牲にしない方向に動きそうだが、安倍内閣は駆け付け警護もできるようにして、国際平和に積極的な役割を果たそうとする方向に進んでいる。
日米は真逆の方向を向いており、溝が大きくならないことを祈るばかりだ。
これまで通り、グローバル化が進んでいくのか、自国優先主義がさらに勢いを増すのか、2017年は大きな岐路になると思われる。
貧富の差を縮小しながら、グローバル化を進める道が望ましいと個人的には思う。
極端な自国優先主義の台頭には、1929年の世界恐慌以降、各国が自国の利益のみを優先し、保護貿易に走った結果、第二次世界大戦に突き進んでいった苦い過去を思い起さなければなるまい。