今年読んだ本の中では、ダントツの1位。「里山資本主義」(藻谷浩介、NHK広島取材班)は、文句なしに面白く、示唆に富んでいた。
たとえば森林。日本の70%は森林である。木材需要が小さいため、荒れているところもある。製材してた木くずをペレットにする。発電する。余った電気は売却し、収入を得る。発電して出た湯は暖房やビニールハウスに使われる。安定した電気が得られるということで、企業が進出する。雇用が生まれる。適しに管理すれば、森林は再生可能で、しかも二酸化炭素を吸収してくれる。技術革新で、木造の9階建てのビルも可能らしい。
たとえば耕作放棄地。地理のテキストをつくりながら、毎年減り続ける耕地面積にため息をついていたら、いた、いた。耕作放棄地の雑草をただで食べて、濃厚な牛乳を生産する若者の話は痛快だった。
過疎地の空き家を高齢者の施設に改造し、レストランと保育所を併設する。お年寄りたちが自家消費できないで余った野菜を買い取り、施設やレストランで使う。
東日本大震災で計画停電で苦しんだ記憶はいつの間にか遠くなった。円安で割高になった原油や天然ガスを燃やして、電気料金は上がるし、二酸化炭素は出すし。日本にある資源を生かそうとしないのは、なぜなのか。
栃木県にも森林や耕作放棄地は多々ある。発想を転換し、地域にお金が回るようにすれば、人と人のつながりも活性化し、いうことなし。
里山資本主義が日本を変える。
事務系地方公務員を目指す人には特におすすめ。